知的障害でも障害年金は受給できる?受給条件と申請のポイントを社労士が解説

「子ども(あるいはご自身)が知的障害を持っているが、将来の生活費が不安」「療育手帳の判定が軽くても、障害年金はもらえるのだろうか?」と悩んでいるご家族やご本人は少なくありません。

結論から申し上げますと、知的障害は障害年金の支給対象です。

しかし、知的障害の申請には「出生時から現在までの経緯を書類にまとめる必要がある」など、他の病気にはない特有のルールが存在します。申請のポイントを正しく理解していないと、書類の不備や説明不足で不支給になってしまうこともあります。

本記事では、知的障害で障害年金を受給するための特有の条件や等級の目安、申請時の重要ポイントを詳しく解説します。

1. 障害年金の対象となる「知的障害」とは

障害年金の審査において「知的障害(精神遅滞)」は、おおむね18歳までに発症し、知的機能の障害(IQ70以下がひとつの目安)により日常生活への適応が困難な状態を指します。

また、知的障害に「自閉スペクトラム症(ASD)」などの発達障害や、「うつ病」などの精神疾患を併発している場合は、別々に分けるのではなく、諸症状を総合的に判断して認定されます。

2. 知的障害で受給するための「特有の要件」

知的障害の申請は、他のケガや病気とは大きく異なる「特例的な扱い」を受けます。

  • 初診日要件: 知的障害の場合、初めて病院に行った日に関わらず、「生年月日(生まれた日)」が初診日として扱われます。

  • 保険料納付要件: 初診日(生年月日)が20歳前となるため、年金保険料の納付要件は一切問われません。(※未納期間があっても申請可能です)

  • 障害状態要件: 20歳の誕生日の前日(障害認定日)、または現在の状態が、法令で定められた障害の状態(1級または2級)にあること。

※初診日が20歳前となるため、知的障害で受給できるのは「障害基礎年金(1級または2級)」のみとなります。3級はありません。

3. 知的障害の認定基準(等級の目安と支給額)

知的障害の審査では、知能指数(IQ)だけでなく、「日常生活でどれだけ家族や周囲の援助を必要としているか」が非常に重視されます。

等級 状態の目安
1級 社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、
    かつ、著しく不適応な行動がみられるため、
    日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 社会性やコミュニケーション能力が乏しく、
    かつ、不適応な行動がみられるため、
    日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

※知的障害による障害年金には「3級」がありません。そのため、審査で2級の基準に満たないと判断されると「不支給」となってしまいます。

4. 知的障害特有の「申請の重要ポイント」

知的障害の申請において、特に注意すべき3つのポイントを挙げます。

① 「療育手帳(愛護手帳など)」の等級だけで決まらない

療育手帳の判定が「重度(A)」でなくても、障害年金の2級を受給できる可能性は十分にあります。逆に、手帳を持っていても日常生活の困難さが伝わらなければ不支給になることもあります。「手帳が軽いから」と諦める必要はありません。

② 診断書に「見守りの必要性」を反映させる

知的障害の方は、ルーティン化された行動は得意でも、予期せぬトラブルへの対応や、複雑な金銭管理が苦手な傾向があります。医師には「一人でできること」だけでなく、「家族が裏でどれだけ手助けや声かけ(見守り)をしているか」をメモ等で正確に伝えることが重要です。

③ 「病歴・就労状況等申立書」は出生時から記載する

自分で作成するこの書類は、診断書と並んで非常に重要です。

知的障害の場合、「出生時〜就学前」「小学生」「中学生」「高校生」「現在」と、数年ごとに区切って、すべての期間の困りごとを具体的に記載しなければなりません。親御さんにとって非常に負担の大きい作業ですが、ここを丁寧に書くことが受給への近道です。

5. 「働いていると受給できない」は誤解

「就労継続支援(A型・B型)に通っている」「障害者雇用枠で働いている」からといって、障害年金がもらえないわけではありません。

知的障害の方の場合、職場で「簡単な反復作業のみを任されている」「ミスをした時にフォローしてくれる指導員がいる」など、多大な配慮を受けて働いているケースがほとんどです。

このような場合、就労していても「2級」に認定される可能性は十分にあります。大切なのは「何とか働けている理由(職場からの配慮の内容)」を書類でしっかり訴えることです。

まとめ

知的障害のある方が将来にわたって安心して暮らしていくために、障害年金は非常に重要な経済的支柱です。

しかし、出生時からの成育歴を思い出しながら書類を作成する作業は、ご家族にとって精神的にも時間的にも大きな負担となります。もし「自分たちだけで手続きするのは難しい」「どのように書けば実態が伝わるか不安」と感じたら、障害年金に特化した社会保険労務士に相談することも検討してみてください。

投稿者プロフィール

特定社会保険労務士 山下 充晃
特定社会保険労務士 山下 充晃
皆様、当サイトをご覧いただきありがとうございます。
宮崎障害年金センターを運営する、社会保険労務士法人 山下労務管理事務所代表の山下です。
当事務所は開業以来、多くの企業様の労務サポートを行ってまいりました。最近では、生活安定のための「年金の重要性」を感じ、個人様の年金手続きのサポートにも力を入れており、地域ナンバー1の障害年金申請に挑戦しております。
相談者にとって最大限のお手伝いができるよう、精一杯取り組みます。
具体的な障害年金に関するご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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